めがね

春の与論島は人も少ないし飯も旨いからいいね、という映画。長めのCMか実験映像に近い。
ゆったりと流れる時間や、美しい自然、素朴だが風味豊かで味のある土地の料理。全編そんな映像しかなく、スローライフ万歳な感じ。
だが、注意すべき点がある。作り手はそれを半分肯定しているが、半分は否定している節がある。
主人公達がやっている事は自然との共生とはかけ離れており、生活感の欠けらもない。働かず、余計な人間もいない、飯は勝手にでてくる。好きなだけ滞在するが夏が来る前に離れるので、観光客であふれるビーチも見ないし、台風も知らない。南の島の良いところだけを体験したいという、エゴの固まりだ。しかも、それを共感できない人間を見下す。驚くほどの自己中心的な内容にしている*1
つまり、都会の人間が島にいるということは、生活ではなく癒しだ。決して島で暮らさない、違うのだということを匂わせている。その証拠に、メインキャストは皆めがねをかけているが、島民には無い。
まぁ、皮肉でもなんでもなく、本気でそう思ってるかも知れないけど。

*1:逆に、畑を耕し労働や共生を目指す人たちは好意的には描かれてはいない。