立喰師列伝

押井守の重度なファンじゃないと楽しめない作品(^^ゞ
タランティーノで言えばキルビル的位置付けか。

世界で唯一「夢オチ」を許された監督、押井守の新作。しかも長年あたためていた立食いの話なのでかなり期待して観にいく。
映画の作りそのものが立喰師の振る舞いと等しく、立て板に水、圧倒的で執拗なまでにゴトの思想をまくしたて、観客全てを煙に巻く。まさにこれぞ夢オチか。てか、映画の九割は山寺宏一のナレーションで、押井世界に不慣れだと全くもって敷居が高く、眼鏡の論理に馴染まぬときは、えいと居眠りを決め込むか敵前逃亡の謗りを甘受し転進するかの敗者の二択を迫られる。選択を誤れば、程度の低いオタク気取りのサラリーマンが浅薄な知識をひけらかす「今の場面がワカルのは、俺がハイソな知識人だからだぜ」と叫ばんばかりのワザとらしい笑い声に悩まされることとなる。客席の三分の一は斯様な不愉快な集団が占め、さらに残りの半分は席を立つか居眠りか、後はハナから空席と言う、存在意義を見失った三界に分かたれた、言うならば、満員電車なのに全ての人が自分から背を向けているような、衆人の中の孤立を味わうこととなる。しかし立ち食いの良いところは、明朝には糞になって流れゆくものであり、何の事か分からない人は観に行かぬが賢。
マニアしか観ないだろうな・・・。